最終更新日:2024/05/17
今回はレンズフィルターをマグネット化してみよう!という話です。
「ねじ込み式タイプ」のレンズフィルターは脱着時にどうしても手間がかかります。
手間と言っても、ほんのわずかな時間。それでも、一回の撮影で付け外しを何度も繰り返すと、もう一組カメラを用意したくなるレベルで面倒ですが、それを簡単に解決してくれそうなのがこのマグネット化。現場でのスムーズな脱着が期待できます。
※ちなみに今回の内容は、私が選んで購入するまでの話が1~5、購入後の話が6~7という構成になっています。
1.マグネット化のメリット
2.デメリットや心配な点
3.各社から発売されているマグネット化製品
4.各社まとめ・互換性
5.その他、気になるポイント
6.私が本当にやりたかったことは実現できたのか?
7.使ってみて発見!気をつけるべき点
8.追加検証!他社製品も買ってみた!
1.マグネット化のメリット
突然ですが、こんな経験ありませんか?
- 保護フィルターの上に重ね付けしたNDフィルターを取り外そうとしたら一緒に外れてしまった。
- ねじ込み式、しっかり回してつけたつもりが、甘かったようで途中で落下しそうになった。
- 重ね付けしたフィルター同士のネジがガッシリと嚙み合って、外すのにすごい苦労した。
- フィルターあり、なしで分けて何度も撮る時、超大変だった。
- フードの中に手を突っ込んでガサゴソ…回してつけるだけなのになかなか付かない。
- 重ね付けしたやつを外したら、下につけてた保護フィルターが緩んでしまってたことに気付かず途中で保護フィルターが抜けて転がり落ちていった…。
ちなみにこれ、すべて私の実体験、経験談です。。。
- 脱着がスムーズになり、撮影時に被写体さまを待たせないし、こちらも変に焦らなくなる。
- ヒヤリハットを減らす。
これらが私が思う、マグネット化のメリットです。
2.デメリットや、心配な点
【心配1】ケラレ
広角側で四隅にケラレが生じる可能性。。。
【心配2】一緒に回転しちゃわないの?
CPLやTwinkleStarなど中で回転させて使うフィルターは一緒に回ってしまうのでは?
【心配3】フィルターケースに入らなくなるのでは?
フィルター購入時についてくる付属のケースには入らなくなりそう…入らなかったらどう持ち歩けばいい?
【心配4】お値段…
使用する分のマグネットリングを買わないといけないので、結構なお値段になってしまうのでは?
3.各社から発売されているマグネット化製品
一部の画像には販売店のリンクを付けています。気になる方は販売店サイトで詳細もご確認いただけます。
Kase マグネティックフィルターアダプター
中国のメーカー製品。これを調べるまで存在を知らなかったメーカーのひとつ。レンズ内側にとりつけるインレイドとよばれるリングを取り扱ってるのはこのメーカーだけの模様。
販売店サイト:https://www.yodobashi.com/maker/5000029491/(ヨドバシ)
【A】MAGNETIC ADAPTER RING(アダプターリング)
レンズ側に取り付け
【B】MAGNETIC SCREWED adapter ring(スクリューアダプターリング)
お手持ちのフィルターに取り付け
【C】MAGNETIC INLAID RING(インレイドリング)
レンズ側(内側のネジ内)に取り付け
※【A】【B】【C】については、よしみカメラさんがすごく丁寧に詳しくまとめられています。せっかくなので、以下に続くメーカーも上記の凡例表記にあわせて記載してみました。
Freewell MAGNETIC QUICK SWAP
Freewellという香港のメーカー製品。公式ページをみても【B】にあたる製品は発見できず、もともとマグネット化されたフィルター付のものしか存在しない模様。Amazonの販売ページにも「FREEWELL MAGNETIC QUICK SWAP FILTERシステムでのみ動作し、ねじ山フィルターを磁気化することはできません。」と記載が…。
公式サイト:https://www.freewellgear.com/ja/136-magnetic-quick-swap-system
【A*】空の磁気ベースリング
レンズ側に取り付け
K&F Concept Magnetic System
中国のメーカー「K&F Concept」のマグネット製品。Amazonでよく見かけるメーカーという印象。【B】にあたる製品は発見できず、使用には同社製のマグネットフィルターを用意する必要がある。Amazonでは82mmの取扱がなかったが、公式サイトからは購入可能。
公式サイト:https://www.kentfaith.co.jp/KF05.291_82mm
【A*】NANO-X MAGNETIC ADAPTER RING(磁気アダプターリング/空の磁気ベースリング)
レンズ側に取り付け
Kenko MAGNETIC MOUNT SYSTEM
日本国内のケンコー・トキナーから2024年5月17日発売となったマグネット化製品。これまでAmazonなどで販売されていた海外版Kenkoの「PRO1D+ INSTANT ACTION」と同じかと思いきや、印字が異なっているので別商品の模様。互換性も不明。
公式サイト:https://www.kenko-tokina.co.jp/imaging/filter/mms/
【A*】マグネティック・マウント・システム ベースリング
レンズ側に取り付け
【B*】マグネティック・マウント・システム コンバージョンリング
お手持ちのフィルターに取り付け
Kenko PRO1D+ INSTANT ACTION
毎度おなじみの「Kenko」さん。しかし、こちらはAmazonで逆輸入版として販売されている日本国内のケンコー・トキナー取扱ではないほうの品。
公式サイト:https://kenkoglobal.com/product/pro1d_instant_action_adapter_ring/
【A*】PRO1D+ INSTANT ACTION ADAPTER
レンズ側に取り付け
【B*】PRO1D+ INSTANT ACTION CONVERSION RING
お手持ちのフィルターに取り付け
HOYA INSTANT ACTION
Kenkoと同じ名前でINSTANT ACTION。HOYAの公式サイトを見ると、「ケンコー・トキナー株式会社はHOYA社の承認を得て、HOYAブランドのフィルターを全世界へお届けしています。」とあるので、kenko取扱のものと同じ商品と思われるが、明記されていないので確証はない…。
公式サイト:https://hoyafilterusa.com/collections/instant-action
【A*】INSTANT ACTION ADAPTER
レンズ側に取り付け
【B*】INSTANT ACTION CONVERSION RING
お手持ちのフィルターに取り付け
H&Y マグネット式丸形システム
香港のメーカー「H&Y」のマグネット製品。こちらも近年よくみかけるメーカーのひとつ。
公式サイト:https://hy-filter-japan.com/?category_id=620459fa423f6a374c958429
【A*】Magnetic Adapter Ring
レンズ側に取り付け
【B*】Screw in to Magnetic Adapter Ring(マグネット式変換アダプター)
お手持ちのフィルターに取り付け
マルミ MAGNETIC SLIM
マルミから発売されているマグネット化の製品。【B】にあたるものはAmazonでは見つけられなかったが、おぎさくで24/4/19発売と書かれていた。どうやら最近発売されたばかりのよう。製造・供給は「H&Y」で、H&Yのマグネット丸形システムと互換性は◎。
公式サイト:https://www.marumi-filter.co.jp/product/circularmagnetslim/
【A*】MAGNETIC SLIM LENS ADAPTER(マグネットスリム レンズアダプター)
レンズ側に取り付け
【B*】MAGNETIC SLIM FILTER ADAPTER(マグネットスリムフィルターアダプター)
フィルター側に取り付け
Nisi SWIFT
中国のメーカー「Nisi」から発売されている品。【B】にあたるものの取扱はなく、取り付けには同社製のSWIFTに対応したフィルターの用意が必要。ちなみにSWIFTはマグネットではなく押し込んで装着させるマグネットとはちょっと違うタイプの製品。用法としては同様なので1つの比較としてご紹介。厳密には似て非なるものかもしれない。
公式サイト:https://nisifilters.jp/product/swift-adapter-ring/
【A*】SWIFT アダプターリング
レンズ側に取り付け
Manfrotto XUME
2017年ごろにマンフロットから発売されたマグネット化製品の先駆け的なアイテムだが、現在は在庫限りの終息商品となっている模様。2024年現在各社から発売されているタイプより多少厚みがある模様。
紹介サイト:https://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/item/1091334.html
【A*】XUME マグネットベース
レンズ側に取り付け
【B*】XUME マグネットフィルターフレーム
お手持ちのフィルターに取り付け
※他にもNeewerなどからも販売されていますが、こちらは単体ではなくフィルター含むセット売りしかしていないため、ここでは取り上げておりません。
4.各社まとめ・互換性
H&Yのサイトによると、marumiにはH&Yが製造したものを提供と記載がありました。
また、H&Y conceptのQAにはKase、Freewellと互換性があると記載もありました。
ここまでのものをまとめると、こんな感じのようです。(あくまでもメモです。)
*1 K&F Concept=Kase=Freewell…(NEEWERも!?)
【1】K&F公式サイトのQA内に互換性に関して記載を見つけました。
Q:これはKaseおよびFreewell磁気フィルターと互換性がありますか?
A:こんにちは、K&F Concept磁気フィルターセットはKaseと互換性がありますが、Freewellシステムでも試すことができます。
引用元 <https://www.kentfaith.co.jp/faq_9608>
【2】Neewer公式販売サイトの注意書きにも互換性に関する記載を見つけました。
“アダプターリングは82mm磁気フィルターのみ使えます。NEEWER Kase K&Fと対応します。”
引用元<https://neewer.jp/products/neewer-magnetic-step-up-filter-ring-adapter-kit-66601692>
*2 H&Y=マルミ!?
【1】H&Y公式販売ページ内にmarumiとの互換性について記載を見つけました。
*H&Yが製造・供給しマルミ社から販売のマグネットスリムフィルター(Marumi Magnetic Slim Filter)と互換性ございます”
引用元 <https://hy-filter-japan.com/items/6558cd365b90ec0034661ccd>
※8の追加調査「他社製品も買ってみた」で詳しく解説しているが、KaseのアダプターリングにKenko(海外)【B】は互換性がなく取付不可でした。要注意。
5.その他の気になるポイント
【C】の取扱がある唯一のKase
ネット上を見て回った限り、このタイプのものは他のメーカーから2024年5月時点、発売されていないようで、極限まで厚みを減らすことができる唯一無二の存在っぽいです。
【A】の厚みに言及している唯一のメーカー、K&F Concept
公式サイトによると、薄さが2.16mmで非常に薄いということをPRしています。
Freewellのバックキャップ
Freewellにはマグネットフィルター用のバックキャップもあり、レンズキャップとサンドイッチにして運べるのでは?と思われます。少ない枚数を持ち歩く際は便利そうな印象です。
ーここからは購入後の話ですー
6.私がやりたかったこと…
普段、ベースにはNikonのARCRESTフィルターを付けています。
つけ忘れ防止のため、基本的にはこれは外さずに、その上からマグネットでフィルターを重ね付けしたい!と思っていました。
普段使う50mmや85mm、135mmという焦点距離ではケラレの心配も少ないので、【A】+【B】の組み合わせでも問題は無さそう。ただ、Z24-70mm f/2.8Sのように広角ではケラレを極限まで抑えたいところ。そういった時、ARCRESTフィルターに【C】を取り付けてたらうまいこといくのでは??ということで、『Kase』の製品を購入しました。
結果、ARCRESTは薄枠フレームであるため【C】を取り付けた状態では純正レンズキャップをひっかける溝が少なすぎてキャップを付けることができなくなってしまいました。これで運用する場合は、マグネットでつけられるキャップも必要そうです…。
※ちなみに、レンズに直接【C】をつけた状態では、純正レンズキャップの取り付けは問題なく可能でした。
ケラレはどうだったのか?
上記がZ24-70mm f/2.8Sに取り付けた状態。フィルター3枚くらい重ね付けしてるような厚みとなりました。結果、24mmでは四隅はケラレが発生。28mmくらいまでいくとまぁ許容できるかな?という感じで非常に惜しい結果に…。
【C+B】と【A+B】の差はフィルター1枚分くらい出ると思っていたのだが、Aの淵は思ってた以上に薄く、実際の差はごく僅かなものだった。これくらいなら【C】を使わず【A+B】セットのみでも良かったかもしれない。
気になる各社のお値段は?
各社の販売価格は24/05/09調査時点でこんな感じ。Kase製品は販売店によって「A+B」「A+B+C」「B+C」のセット割引販売もあるので単品購入よりかなりおトクに購入可能です。
※販売店によっては送料が別途必要かもしれない点はご注意ください。
今回のマグネット化対応では、82mm径の【A】レンズの本数分で4つと、試しに【C】を1つ。フィルター交換用に【B】を6つ、レンズキャップを1つ購入。合計24,300円の出費でした。(ヨドバシポイント13%で実質21,141円。ありがとうヨドバシ!)
ケースには入ったのか?
Nikon ARCRESTのNDフィルター(82mm)に【B】を付けた状態
△
kenkoの四角いタイプのレンズフィルター入れ(ブラックミストとか入ってたやつ)は、そのままだと若干蓋が浮く感じでしたが、中のクッシュンを抜けば余裕で入りました。
×
NikonのARCREST購入時についてきたフィルター入れ(Nikon-CP18と書かれているケース)は中のクッションを抜いても蓋が閉まらず無理。
◯
Nikonの入れ物に近い形のmarumiプラスチックケースは、多少中央部が浮くもののカチッと閉めることができました。
Kenkoのブラックミストフィルター(82mm)に【B】を付けた状態
△
Kenkoの入れ物はクッションを抜けば余裕ではいりました。
×
marumiプラスチックケースは、ARCRESTタイプの薄枠フィルターじゃないと無理でした。
使用機材コーナーでも紹介してるこのタイプのフィルター入れは、【B】をつけた状態でも収納可能でした。
K&F Concept フィルターケース 4枚用 フィルター径95mmまで対応
【10枚フィルター収納】JJC フィルターケース
C-PLを付けたときは?
C-PLは、枠ごと一緒に回ってしまいました…。そしてこれ、回す時に指1本でやってきてた方は、周囲を押さえながら回さないとマグネットが外れて落下事故…となりそうです。回転させる可変タイプのものは辞めておいたほうが良いかもしれません。
7.使ってみて発見!良かった点と気をつけるべき点
◎:良かった点
取り付け・交換が超ラク!取り付けも、いままでのようにフードの中に手を突っ込んで手探りでクルクル…なんてすることもなく、上向けてレンズフード内に適当において左右に軽くふるだけでカチっとはまります。これだけで、買ってよかった!となります。
△:気をつけるべき点
kaseの【B】にねじ込みフィルターを取り付ける際、あまり強く締めすぎない方が良さそうです。思いのほか取り外しが固く、出先で他のフィルターに【B】を付け替えるケースがある場合などは特に。
※外すときは、レンズに装着した状態で何か所か指で固定しながら回すと比較的取り外ししやすいことが判明しました。
8.追加検証!他社製品も買ってみた!
Kenko PRO1D+INSTANT ACTION
Kaseのマグネット化製品とKenko PRO1D+ Instant Actionの互換性はどうなっているのか?どうしても気になってしまったので、実際に購入して確かめてみた。結果は…
※タイミング悪く日本のケンコー・トキナーから別名称で発売されてしまったので、ここではKenko(海外)と表記します。
Kase【A】+Kenko(海外)【B】=×
…この組み合わせだけは構造上うまくハマらず、片側が2mmほど浮いてしまいアウト!
Kase【C】+Kenko(海外)【B】=△
…Kase【A】の組み合わせほどではないが、微弱に浮きがある感じに。使用中に落下するほどではないので、使えそうではある。
Kenko(海外)【A】+Kase【B】=◯OK
…この組み合わせは問題なく使用可能だった。ただ、実用上は全く問題ないのだが、若干寸法が違うため装着状態で左右に手で押して動かすと気持ちスライドする(遊びがある)状態。
厚みについては
①Kenko(海外)【A+B+フィルター】
②Kase【A+B】
で比較した所、1mmほど②Kaseのほうが短かかった。
【A】同士の比較では、ごくわずかにKaseのほうが薄い状態。
【B】はKaseがかなり薄く、フィルターもネジが最後まで回らないレベルだったが、Kenko(海外)は最後までしっかりくっつく厚み。
【お断り】
※あくまでも個人が片手間につくった備忘的なまとめです。あくまでも、ご参考までと。。。
また、異なるメーカーをまたいでの使用は、非推奨です。なにかあっても一切責任は負いません。あくまでも私個人の興味でためしたまでです。