「ストロボ」どれ買えばいいかわからない!という相談をよくいただきます。

ストロボは、カメラメーカー純正以外にも、Profoto、Nissin、Godoxや、安物中華の定番のNeewer、Yongnuo、さらには聞いたことのないメーカーまで様々なメーカーから発売されています。

お値段もピンキリで、とりあえずお安いものを…と考えがちですが、ストロボもカメラと同様、安価なモデルが必ずしも初心者向けというわけではありません。

様々な機能や性能を削ぎ落として安くなっていますので、安物や粗悪品を手にして「なんだ、こんなもんか…」とガッカリしてしまったり、「あの時こっちのモデルを買っておけば」と後悔してしまう前に…

(最終更新2024/3/22)

1.選ぶ上で重視しておきたい5つのポイント

普段からコスプレをやられている方は、様々なカメラマンさんからデータが送られてきている状態…必然的に「それなりに目が肥えてしまっている人」になっています。

そんな方が、カメラにストロボをつけて普通に撮ってみても、「なんか思ってたのと違う…」「なんか物足りない…」となってしまうことは想像に難しくありません。

ストロボを購入する上で抑えておきたい最低限のポイントを私なりにまとめてみました。

ポイント①「HSS対応」ついでに「TTL対応」

HSS(ハイスピードシンクロ)対応

屋外など明るい環境で撮影(日中シンクロ)する際、シャッター速度は1/2000など、とても速くなりがちです。そんな状況でもストロボ発光タイミングをあわせてくれるのがハイスピードシンクロ対応のストロボです。対応していないと、1/200を超えると発光タイミングが合わず画面の半分だけ明るく半分だけ真っ暗…といった残念な写真になってしまいます。

※HSS対応であっても1/8000で撮ったりするのはあまり実用的ではないので、できればレンズ側を暗くするNDフィルターを併用して、できるだけ1/200以下もしくはそれに近しいくらいで撮るのが理想です。

TTL対応

一言で言うなら、ストロボ発光の光量(強さ)を、自動で調整してくれる便利機能です。クリップオン(カメラ直付)で使うときには便利な機能です。(使い慣れてくると、マニュアル設定のほうが使い勝手が良くなってきますので、使わない機能になるのですが…初めのうちはあったほうが◎です。)

ポイント②「バッテリー対応」

バッテリーで発光できるストロボは、従来の乾電池タイプとは比べられないくらい再チャージの時間が早く、連写時も発光させることができるようになります。(※)

※周辺の明るさや、指定したストロボの強さ、早すぎる連写には対応できない場合もあります。

ポイント③「ワイヤレス対応」と「チャンネル設定の数」

ワイヤレス対応(2.4GHzの無線タイプ)

カメラ直付でストロボを使ってしまうと、ブースによっては変に影が濃くでてしまったり等、微妙な感じになってしまうこともあるので、スタジオでの撮影は、「ワイヤレス」でストロボをカメラから離して、なるべく大きめのディフューザーをつけて使う等での撮影がおすすめです。

※カメラ直付でもISO感度を絶妙なコントロールでうまく捌き切る方もいるかもですが、ここではそのクラスの玄人の方は対象としていません。あしからず…。

そしてこの「ワイヤレス」で使おうとした際に、簡単に利用できるのが、「2.4GHzの無線タイプ」に対応しているものです。赤外線信号だけとか、発光にあわせて光るタイプは、場所によっては使い勝手が極端に悪くなるので要注意です。

※赤外線タイプは被写体の後ろや物陰にストロボを設置すると発光できなくなります。発光にあわせて光るタイプはシャッター速度が一定の速度を超えると使えなくなります。


チャンネル設定の数

2.4GHz無線方式のワイヤレスストロボを使うとき、カメラのシューに取り付けるコマンダー(送信機)とストロボ(受信機)のチャンネルを同じ番号に揃えて利用することになるのですが、このチャンネル設定できる数が少ないと、利用者の多いシェアスタジオで利用するとき、あなたも私も同じチャンネル設定!となってお互いのストロボが発光しまくって大変なことに…。

発売時期が古いストロボやコマンダー、安価なストロボは、設定できるチャンネル数が少ないこともあるので、購入時には注意したいポイントです。

うろ覚えの知識ですが…
Profotoなら100チャンネルの中から設定。(古いやつは8チャンネル)
Godoxなら32チャンネルとID(1~99)を組み合わせて設定。古いタイプや安価なモデルは8チャンネルで、ID設定非搭載のものも…
Nissinはペアリングして使えるので、チャンネルの数は気にしなくてもOKらしい(使ったことがない)

ポイント④「後幕シンクロ」

シャッター速度を長くあけて撮影する際、ストロボを最後に光らせるか、最初に光らせるかで、残像や光の表現を楽しむ撮影方法です。後幕シンクロでGoogle先生に聞けば、いろいろと作例が見られると思います。

頻繁に使うものでもないと思いますが、いざ使おう!と思ったときに「そんな設定ないよ!」となってガッカリしてしまう前に…設定できるかどうかは事前に確認しておいたほうが◎です。

ポイント⑤「2灯目の導入が容易か?」

ワイヤレスを1灯でやり始めたら、きっとすぐにもう1灯欲しくなります。ワイヤレスライティングの楽しさ・醍醐味は、2灯目からといっても過言ではありません!

そんなとき、1灯目と2灯目を組み合わせて使えない…なんて悲しい状態にならないよう、2灯目も欲しくなったら簡単に導入できるか?をあらかじめ考えておくと◎です。

ストロボ2灯目のメリット

1)撮影の幅がより広がって楽しい!

1灯だけだと、前方から被写体に光をあてるだけで終わってしまいます。
もちろん、当てる確度やディフューザーの種類を変えることでも十分たのしいのですが、もう1灯あると、斜め後方・後方から被写体にあてて服や肌のエッジを際立たせたり、髪の毛に当ててツヤ感を出したり、カラーフィルターを入れて雰囲気を変えてみたり…と撮影のバリエーションを格段に増やすことができます。

2)万一の故障時も安心

2灯あれば、アクシデントで1灯壊れてしまっても、1灯残っているのでストロボがないと厳しい環境下でも撮影を継続することができます。

2.メーカー純正にこだわりがなければ、Godoxがおすすめ!

先ほどお伝えした項目をクリアしていて、お値段もお手頃で一番導入しやすいのがGodoxのXシステム。

X3(新商品)

XproII

Xpro

X2T

こんなコントローラーをカメラに取り付けて、直接ストロボの光量を調整することができます。複数ストロボを導入した際も、このコントローラーからスムーズに設定を行うことができます。

※ストロボのV1やV860IIIなどコマンダー機能付のストロボもあります。(補足)

要注意:同じGodoxでもID設定できないタイプはキツイ…

Godoxのストロボは電波方式を利用しているので、1~16ch、もしくは1~32chの中からコマンダー(送信機)とストロボ(受信機)のチャンネルをあわせて使うことになります。

先程のポイント③でもお伝えした通り、シェアスタジオやイベント会場では周囲がGodoxユーザーだらけですので、意図せずチャンネルが重なってしまい、いきなりストロボが発光してしまったりとか、誰かのストロボを発光させていたりとか…残念な状況になりがちです。

これを回避できるよう、いくつかのモデルは「ID設定」機能が追加され、チャンネルとID(1~99)を組み合わせて設定できるようになりました。シェアスタジオやイベント会場などで撮影する想定があるのであれば、必ず「ID設定」に対応したストロボを選んでください。

ID設定に対応しているタイプは、TT685II、V860III、V1、ADxxxシリーズです。
TT350、V350、TT600あたりは、未対応ですのでご注意を…。

3.最初の1本はこのあたりがオススメ!

ここまでの内容を踏まえ、クリップオン(カメラ直付)で使うことがあるなら、GodoxのV1、V860IIIのいずれか、無いならAD100Pro(改良版)あたりが良さそうです。

V860III

V1Pro(新商品)

V1

AD100Pro

昨今の価格高騰で多少お高めになってしまいましたが、上記のモデルにはID設定のほか、「モデリングライト」にも対応しているので、ストロボを発光させる前に光のあたる位置を確認したり、黒ホリなどでフォーカスがあわせやすくなります。

★V1やV860IIIにはコマンダー機能もついているので、あとからAD100Proを買い足した際もXproを買わずに利用することもできます。

もちろん、懐に余裕があるなら迷わずAD200ProやAD300Proをおすすめです!

AD300Pro

AD200Pro

※Godox製品は日本のAmazon価格よりAliExpressのほうが安く買えることもあります。セールの有無によって大幅に価格が変わりますので、ともにセール時期の購入がおすすめです。AliExpressで購入する際はバイヤーが設定している送料にご注意ください。送料無料が多いですが、中には結構高額で設定してる店舗もあります。アプリでゲームをプレイし、コインをためておくと購入時の割引にもつかえるのでおすすめです。

(参考)2灯おすすめセット

【松】予算約12万円~コース

  • Godox AD200Pro(×2)約4万×2
  • Godox Xpro(×1)約9,000円
  • Godox AD-B2 ダブルチューブライトヘッドブラケット(×1)約8,000円
  • Godox EC200 200W 拡張フラッシュヘッド(×2)約6,000円×2
  • GODOX BD-07 バーンドアキット(ハニカムグリッド付き)(×1)
  • カラーフィルター

これだけ用意できれば屋内でも屋外でも、撮影の幅はグンと広がります。
◎2つを1つに合体!AD-B2を使って2つのライトを1つに合体!晴天屋外撮影時の逆光とも戦えます。
◎チューブヘッドライトを使って、風が強い屋外でも上に重心が来ないようにすることも!

【竹】予算約9万円~コース

  • Godox AD200Pro(×2)約4万×2
  • Godox Xpro(×1)約9,000円
  • Godox AD-B2 ダブルチューブライトヘッドブラケット(×1)約8,000円
  • Godox EC200 200W 拡張フラッシュヘッド(×2)約6,000円×2
  • GODOX BD-07 バーンドアキット(ハニカムグリッド付き)(×1)
  • カラーフィルター

AD300Proをメインライトとし、AD100Proを補助的に利用する構成。
AD100Pro用のアクセサリーセットAK-R1は1つくらいあっても良いかも。

【梅】予算6万円~コース

  • AD100Pro(×2)
  • Godox Xpro(×1)約9,000円
  • カラーフィルター約2,000円

これだけ用意できれば屋内でも屋外でも、撮影の幅はグンと広がります。
◎2つを1つに合体!AD-B2を使って2つのライトを1つに合体!晴天屋外撮影時の逆光とも戦えます。
◎チューブヘッドライトを使って、風が強い屋外でも上に重心が来ないようにすることも!

※別途、ライトスタンドやディフューザーの用意が必要です。
※AD100Proはフル発光の連続使用は控えてください。中が焦げて周囲が焦げ臭くなります。